悠久のシャングリラ


焦り、不安、恐怖、他にもいろいろ。


みんなの目が咲夢梨に向けば向くほど、
あたしは劣等感に苛まれていった。


(あたしの初恋の相手もーー隼人も、
あたしの事なんか見てもくれない)


初めて好きになった人。


初めて知りたいと思った人。



決して優しい訳でもなかったのに、
いつの間にか惹かれてしまった人。


あたし達はまだ子供で、
恋なんて難しいことはわからないけど。


それでも、きっとこの気持ちは
強く【ここ】にある。


あたしが胸の前で拳を握り締めると、
それと同時に、ポツポツと小ぶりの雨が。


「やっぱり降ってきたか!」

「そろそろ、上に戻ろう」


川の中で遊んでいたところだったので、
あたしたちは急いで川から上がった。

その頃には、
小雨が土砂降りへと変わっていたーー。

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