悠久のシャングリラ


「それで? どんな物をなくしたの?」


「染めたハンカチ……」


「ハンカチ? 買ったもの?」


「ううん、隼人から貰ったの!
私に合う色で染めてくれたんだって!」



「え………?」



「模様もすっごく可愛くてね!
あれ、ゴムで縛って付けるんだって!」


「すごいよね!」という咲夢梨の声。
探す手も止まり、暫く放心状態だった。



ーー隼人が、咲夢梨を好きなことは
見ていれば誰にでもきっとわかる。



でもそれでも、好きになってしまった人。


けれどこうして、喜びに微笑む彼女の顔を突きつけられると、胸がギシギシと音を立てた。


あまりの痛さに、
思わずうめき声を上げる。

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