吉田は猫である。
後輩のいいところが見つからないなんてどれだけ最悪な先輩だろう。


「はあ…」


午後の授業の間、ずっと吉田のいいところを探していた。

いいところ、尊敬できるところ、可愛いところ。

だけどどれだけ考えても、全く思い浮かばない。

嫌なところしか思い浮かばないのだ。

これは私の性格の問題だろうか?

いいや、そんなことはないはずだ。

吉田が私に対して嫌味なことを言ったり失礼なことを言ったりするからこんなことになるのだ。


「どうしたんです、溜息吐いて」


後ろから吉田が声をかけてきた。

びっくりして肩がびくっと上がる。


「なんだ吉田か、驚かさないでよ」


むっとしてそう答えると、吉田はあからさまに不機嫌そうな顔をした。


「委員会に向かおうと思ったら先輩がいたので声をかけただけです。というか声をかけただけでそんな態度をとるなんて理奈先輩はひどいですね。人としてどうかと思います」

「だから!最後の一言がいちいちひどいんだよ、抉ってくるんだよ傷口を!」


私は怒るけど吉田は意味が分からないという不機嫌そうな顔をした。


「何を怒っているか知りませんけど早く行きますよ」

「ちょっと待って!」

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