吉田は猫である。
私の高校の制服を着た男子生徒が、地面にしゃがみこんでいる。


「可愛いね」


吉田が、猫を抱えて可愛がっている。

首のあたりを撫でていて、猫は気持ちよさそうな表情をしている。

すごく優しくて暖かい空気で満ちている。


「…吉田」


私がいきなり声を出したからか、「うわ!」と驚いてびくりと肩を上下させて恐る恐る振り返る彼。


「せ、先輩…」


猫を抱えた吉田が、信じられないと言わんばかりに目を見開いて固まっている。


「ど…どうして、ここにいるんですか。なんでまだ家に帰ってないんですか。何してるんですか、馬鹿ですか。もう家に帰らなきゃだめでしょう。あっと言う間に陽が落ちて暗くなりますよ。何してるんですか、馬鹿ですか」


「はあ!?私は馬鹿じゃないし、2回も言わなくていいでしょうが!」


怒鳴ってから一つため息を吐いた。


「それになんで帰ってないかなんて、それは吉田もでしょ」


私は吉田の隣にしゃがみこんだ。

吉田は猫に視線を戻していた。

にゃあ、と何も知らない猫は鳴いた。


「その猫、どうしたの」


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