クールな同期と熱愛はじめ
「式典が終わったら、大事な話がある」
「大事な、話……?」
なにかを含ませたような言い方が、私に緊張を強いる。
私に背を向けて靴を履きながらだった司が、どんな顔をしているのかわからない。
彼が立ち上がり、こちらに体を向ける。
「着飾ってこいよ」
「……それは、式典用? それとも……大事な話用?」
司の顔色を窺うように尋ねる。
静かに、でも確実に鼓動が高鳴るのを感じた。
「大事な話用」
いつになく真顔の司を見ていられなくて、不自然に目を逸らしてしまった。
期待に胸が膨らむ。
「それじゃ、先に行くぞ」
「うん、気をつけてね」
頬が緩むのを抑えられない。
そんな私を見て司は、笑みをこぼした。
「じゃ」と私に背を向けて、ドアノブに手をかける。
ところが、すぐにまた私の前まで戻ってきた。
「忘れ物」
目を丸くした私に司の唇が重なる。
なんとなく気恥ずかしくて俯くと、彼は私の頬をひと撫でして部屋を出て行った。
―END―


