絶対に痩せられるダイエット
手を振る一郎の後ろで
ののかが恐ろしい視線を
なよ子に向けているのを


妄想でふにゃふにゃになった
なよ子の脳は認識できていなかった。



目を合わせれば石にされてしまいそうな
ののかの形相。



ののかは笑顔で
一郎に尋ねた。


「あの子知り合い?」


一郎はうなずいた。


「うん。昨日俺がボールぶつけちゃったんだ」


一郎の言葉を聞いたののかは
顔を歪ませてなよ子を見つめる。


馬鹿にしたような表情。


なよ子はののかを見て
後ずさりをする。


趣味は?と、聞かれて


はい。人の断末魔を見て笑うことですと
答えそうな顔のののかは


唇を歪ませて
一郎に尋ねた。


「倒れたあの子に駆け寄って
一郎起こそうとしたよね?」


にやりと笑うののか。


「重かったでしょ?」

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