お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
そして、そのことに戸惑いを隠せない。
………どうして。
私、本気で思ってるんだよ。
みっくんと香音ちゃんが上手く行けばいいって………
だけど、心の中で思うそれは、どう頑張っても言い訳にしか聞こえなくて薄っぺらくて。
自分で、自分がわからなくなる。
でも、いくら考えたって埒があかなくて、考えることを一旦やめた。
視線の先では、まだ、みっくんと香音ちゃんが立ち止まったまま話し込んでいる。
こうして見ていると、本当のカップルみたい─────って、そうだよね。
ふたりは本当にカップルなんだもん。
なんだか、今日の私、ヘンかもしれない。
考えなくてもいいようなことにばっかり頭が回るし、さっきからずっと胸のあたりがモヤモヤしてるし………
私の視線の先でみっくんが首を傾げた。
……この位置からじゃ、ふたりの声は聞こえないけれど。
香音ちゃんが、頬を上気させながら嬉しそうに頷いた。
そんな香音ちゃんを見た、みっくんも目を細めて口角をあげる。
「うそ………」
思わず、目を疑った。
みっくんが、笑ってる……?
あの、たまにしか笑わないみっくんが。
私にはもう向けてくれなくなったあの笑顔でたしかに笑っている。