お前のこと、誰にも渡さないって決めた。

そして、そのことに戸惑いを隠せない。





………どうして。



私、本気で思ってるんだよ。

みっくんと香音ちゃんが上手く行けばいいって………




だけど、心の中で思うそれは、どう頑張っても言い訳にしか聞こえなくて薄っぺらくて。





自分で、自分がわからなくなる。




でも、いくら考えたって埒があかなくて、考えることを一旦やめた。




視線の先では、まだ、みっくんと香音ちゃんが立ち止まったまま話し込んでいる。






こうして見ていると、本当のカップルみたい─────って、そうだよね。




ふたりは本当にカップルなんだもん。







なんだか、今日の私、ヘンかもしれない。



考えなくてもいいようなことにばっかり頭が回るし、さっきからずっと胸のあたりがモヤモヤしてるし………







私の視線の先でみっくんが首を傾げた。




……この位置からじゃ、ふたりの声は聞こえないけれど。





香音ちゃんが、頬を上気させながら嬉しそうに頷いた。


そんな香音ちゃんを見た、みっくんも目を細めて口角をあげる。





「うそ………」





思わず、目を疑った。





みっくんが、笑ってる……?

あの、たまにしか笑わないみっくんが。



私にはもう向けてくれなくなったあの笑顔でたしかに笑っている。




< 130 / 387 >

この作品をシェア

pagetop