お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
ぱちん、と私の中で泡のようななにかが、はじける音がした。
かなしい、というより苦しい。
どっと押し寄せてくる感情の波に飲まれて、溺れて、息がうまくできなくて──────
みっくんが。
他の女の子をかわいいって思っちゃやだ。
他の女の子に笑顔を向けちゃやだ。
優しくしちゃやだ。
話しちゃやだ。
────────他の女の子と、一緒にいちゃ、やだよ。
なにがスイッチだったのか、わからない。
わからないのに、きっとずっと胸の奥の奥にしまってあった想いが、溢れて、溢れて、とまらない。
みっくんの指先は、香音ちゃんの手のひらに触れて。
ふたりは自然に手を繋いで。
私がいる方とは反対に歩き始めた。
「………行か、ないで………」
ぽつりと呟いた声は、誰にも伝わらないまま地面に落ちた。