お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
私の中の、もう1人の私が
みっくんの背中に呼びかける。
置いていかないで。
他の子に、“照れたときのクセ” なんて見せないで。
“いつもの場所” に他の子と行かないで。
私、私───────
みっくんの隣にいるのは、ずっと私だけがいい。
「……ふ、ぇ………」
涙は全然止まってくれないけれど、
どこか冷静に観察している自分もいて。
………私って、こんなにワガママだった?
みっくんを独り占めしたい、なんて、そんなこと。
思ってしまうほどワガママだった───?
♪ 〜♪
訳もわからず涙を流したまま呆然と立ち尽くしていた私の鼓膜を、ケータイの着信音が揺らした。
アップテンポの最近話題のかわいい曲。
慌ててケータイを取り出して見ると、
画面には “夏奈ちゃん” の文字。
ハッとして、すぐに電話に出た。