お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
『もしもしっ、ひまり!?今どこ!?何してるの!?』
「夏奈、ちゃん………?」
電話の向こうの夏奈ちゃんの声は、人目も憚らない程大きくて、焦ったような声で。
『ほんっと、心配したんだから!!いつまで経っても来ないし、何回電話かけても出ないし………っ』
何回も………?
夏奈ちゃんの言葉に目を丸くした。
全然、気づかなかった。
着信音が鳴っていることになんて、気づかなかった。
「………ごめんね、……心配かけちゃって」
『ひまり?』
大好きな夏奈ちゃんの声に、何と言えばいいのかわからなくなって、ぐっと息が詰まる。
『ねぇ、何かあったの?どうした?』
私の異変に気づいた夏奈ちゃんは、急に優しく問いかけるような口調になって。
それは、少しだけ鎮まった私の涙腺を緩める引き金になる。
「夏奈ちゃん……っ、ふ、ぅ……」
『ひまり、泣いてる?』
「ふ、ぇ……っ、わたしっ……もうどうしたらいいかわかんなくて………っ!!」
わからない。
助けて。
私、自分がどうしたいのか、全然わからない。