お前のこと、誰にも渡さないって決めた。


心配そうな夏奈ちゃんに、無理やり口角を上げて笑顔を見せる。



「私なら大丈夫!なんとかなるっ!だから、いってらっしゃい!」



そう言ってひらひらと手を振ると、夏奈ちゃんはグラウンドの真ん中のトラックのところへ駆けて行った。



夏奈ちゃんは、男女混合のスウェーデンリレーのメンバー。



男の子に混じって走るから、女の子の責任はどうしても重くなるらしい。

………けど、夏奈ちゃんなら安心だよね。




大丈夫じゃないのは、私のほうだ。

せめて、夏奈ちゃんと同じ種目だったらなぁ、なんて考えてしまう。




「ひまりちゃーん!うちら、こっちで練習しよーっ!」


「あ、うん!」




テニス部の女の子が手招きしてくれて。


慌てて駆け寄った。




……そうだよ。
ウジウジしてたって、どうしようもないよね。


人見知りで緊張していたって、運動神経が悪くたって、頑張らなきゃ。



だって頑張ることしか出来ないんだもん。





「じゃあ、とりあえずバトンパスから練習しよっか!」




よし、と心の中で呟いて。


気合い十分に、練習が始まった。





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