お前のこと、誰にも渡さないって決めた。


「ねぇ、もしかしてそれだけ言うために呼び止めてくれたの?」



なんて、甘い期待を抱きながら聞くと。



「ばか、ちげーよ」



残念。本題はほかにあったらしい。




「本題は “こっち” 」




みっくんが手に持ったなにかを振る。


なにか……じゃなくて、消毒液とばんそうこう。





「おまえ、コケたろ」




そう、その通りなんだけど…。


リレー “中” は何一つミスしなかった。


事件は次の子にバトンを手渡したあとに起こったわけで。




走りきった安心感からか、トラックの中へ戻ろうとしたときに、何もない場所につまずいて………。




うん、あれは恥ずかしい。

つまずくような場所でも場面でもなかったのになぁ。




だけど、みんなリレーに夢中で、私がコケたことなんて気づいてなかったのに。



みっくんは、ほんとにずるい。



何気ないところまで、ちゃんと見てくれて、しれっと助けてくれて。



だけど、言葉にしたってみっくんは何も言わないだろうから、心の中で秘めておいた。





「消毒するから足出せ」



みっくんの指示に、膝を擦りむいたほうの足を素直に出した。




そんな私に、みっくんは無遠慮に消毒液を振りかけた。




「っ〜!!」




い、痛いっ!

それに、染みる……っ。




痛みに思わず顔を歪めた私に、



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