お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
「そうそう、ウワサの棚橋くんは次出るんでしょ?」
「うん!」
次は今日最後の種目。
クラス対抗男子4×100mリレー。
みっくんは4組のアンカーとして出場する。
「そういえばさぁ、さっき小耳に挟んだんだけど今年は大混戦らしいよ」
「へ?」
私が首を傾げると。
「なんかね、合計得点でうちのクラスと4組が優勝争いなんだけど……
かなり接戦みたいで、次の男子リレーの結果で優勝クラスが決まるっぽいんだよね〜」
「えええっ!そうなの!?」
初耳で、驚く私に夏奈ちゃんはニヤリと笑った。
「だーかーらっ、棚橋くんのこと応援しちゃいたい気持ちはわかるけど、ひまりも8組を応援してよね?」
「…っ、そんなのわかってるもん!!」
そんなの、自分のクラスを応援するに決まってるよ!
それに、午前中に浅野くんとも約束したし。
“助けてくれた代わりに応援する” って。
「それにしても────、浅野も棚橋くんも、アンカーなんてね〜」
夏奈ちゃんが面白そうにつぶやいた。
そっか、じゃあ、ふたりはレーンで並んで走るんだ……!
それは見応えがありそう。
だって、ふたりとも学年でも上から数えた方が断然早いほど足が速いんだもの。
「なんだか面白くなりそ〜」
にやにやしながら、私とグラウンドを見比べる夏奈ちゃん。
「な、なんで?」
当の私は、夏奈ちゃんが何をそんなに面白がっているかわからないんだけれど。
「んーん、こっちの話〜。あ、ほら、リレー始まるっぽい!!」
夏奈ちゃんにはぐらかされて、釈然としないままグラウンドに視線を向けると。
出場する人たちがグラウンドに入場して来ていて。
たしかに、もう始まりそう。