お前のこと、誰にも渡さないって決めた。

不運だ、としかいいようがない。


お互いの足が速いからこそ、転んだロスもそれ相応のもので。


転んですぐに立ち上がったとはいえ、私たちのクラスとの差は容易に埋められないほどには広がっていた。




4組の応援席からは、諦めのムードが漂ってきているけれど、


8組だって複雑な空気でざわめく。




こういう勝負って、全力を出し切って勝ち抜いてこそ気持ちのいいものであって、


相手の不運で勝つっていうのは────勝ちは勝ちでもやっぱり手放しには喜べないだろうから。




戸惑いと同情がその場にいる全員を包む中、8組のバトンはアンカーの翔太くんに手渡った。




練習段階から知っていたけれど、やっぱり速い。



こんな状況でも翔太くんは手を抜かずに、自分の全速力で走っている。


そういうところが翔太くんが学級委員たる理由であって、人気である理由でもあるんだと思う。




そんな中、私は4組のバトンの行方を追っていた。




8組がアンカーに切り替わった数秒後、やっぱり開いた差は縮まらないまま────





アンカー、みっくんにバトンが受け渡された。





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