お前のこと、誰にも渡さないって決めた。

「え、何パン?」


「クレームブリュレデニッシュ!!」


「うっわ胸焼けしそう……」



同感。

単語の響きからして、甘すぎる。





「ええっ、絶対美味しいよ〜っ」





ふわふわして掴みどころのない、甘ったるい声。



もう、こいつの身体、砂糖で出来てんじゃねーの?





そんなバカな思考に走りかけたとき、




「あっれ、光希まだこんな所にいたわけ?」




利樹の声が背中越しに聞こえた。




「8組?何見てんのー」




興味津々、といったように近づいてくる利樹からふい、と目を背けた。



大体、利樹はタイミングが悪い。




「別になんもねーし……」




口ごもった俺を怪しいと思ったのか、窓から8組の教室をひょい、と利樹が覗き込んだ。




「うわ、あれ花岡ひまりじゃんっ!」



利樹が驚いたように声を上げる。


つーか、なんで名前知ってんの?
利樹とアイツって別に接点なんて……




「ぜってーおまえ、あの子のこと見てただろ!」



にやにやしながら俺のことを肘でつついてくる利樹。




「あいつ、そんなに有名なわけ?」



俺が首を傾げると、



< 218 / 387 >

この作品をシェア

pagetop