お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
*


教室に今日限定で特別に設置したミニ冷蔵庫の中を確認する。



中に並んでいるのは、学校の近くのパティスリーの色とりどりのケーキ。

実は、私たちの模擬店では、コーヒーやパフェ、パンケーキはその場で準備するんだけど、ケーキはそのパティスリーと交渉して、準備してもらうことになったの。



ショートケーキに、つやつやのチョコレートタルト、紅茶のシフォンケーキ。




冷蔵庫を覗き込みながら、思わずごくりと喉を鳴らした。


美味しそう。
今すぐにでも食べてしまいたい。



そんな誘惑を、頭を振って追いやる。





「ひまりちゃん?何見てるの〜?」




後ろから覗き込んできたのは、香音ちゃんだった。


香音ちゃんの頭からは、ヒツジの耳がぴょこんと生えている。


……か、可愛い。




「あ!えへへ、ケーキ、美味しそうだなーって」



「これ全部、ひまりちゃんのセレクトだもんね〜、たしかに美味しそう!」




そう、ここに並んでいるケーキを選んだのは、何を隠そう私で。


夏奈ちゃんの推薦で、その役目を任されることになったんだけど、スイーツ好きとしては願ったり叶ったりだった。



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