お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
*
*


「ひまりちゃん指名入りました〜っ!」


「わっ!!今行くねっ」



文化祭が幕を開けて、数時間。

私たちのクラスは予想を上回る大盛況で。



他クラスや他校生のお客さんがひっきりなしに訪れてくれている。




「ひまり、大人気じゃん!」


「き、気のせいじゃないかな!?」




夏奈ちゃんに冷やかされて、慌てて首を振った。



始まる前は、不安でいっぱいだったけど、こんな私でもさっきから立て続けにオーダーされていて。


みんな優しいんだなぁ、なんて少し緊張もほぐれてきたところだった。




まぁでも、大人気なんて、それは夏奈ちゃんの気のせいだと思うけど!




「でも気をつけなよ?」


「ほぇ?」




夏奈ちゃんが心配そうに首をかしげたけれど、私には何のことかわからなくて。



そんな私の様子を見て、夏奈ちゃんははぁ、とため息をこぼす。




「優しそうに見えても、実は取って食おうとしてるヤツらもいるんだから気をつけなよってこと!」




ひまり鈍いから心配だわ、と夏奈ちゃんは肩をすくめた。



「う……うん?心配してくれて嬉しいけど、大丈夫だと思うよ……!」




うまく飲み込めないまま、心配ないよ、と伝えたけれど。


夏奈ちゃんは、まだどこか不満げ。




「あっ、私呼ばれてるから行ってくるねっ!」




夏奈ちゃんに言われたことは気になるけれど、今は仕事に集中しなきゃ。



メニューをメモするためのバインダーを手にとって、呼ばれた方へ駆け寄った。




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