お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
*

それからも、順調に模擬店は回転して。

さらに数十分が経った。



そう、さっきまでは何の問題もなく順調だった、はずなのに……





「ね、今から俺と抜けてイイコトしない?」


「あ、あの……」


「遠慮しなくていーのに!きみ可愛いし、気に入っちゃった〜」


「今、当番なので……」



「それって、どれくらいまでなの?俺、待てるよ?」





ど、どうしよう……。

困ったな……。




コーヒーを運んで戻ろうとした私を引き止めたのは、茶髪の知らない男の子。


耳にはピアスをいくつか付けていて、チャラチャラした感じの人。



本当は悪い人じゃないのかもしれないけど、どうしてもビビってしまうし、身体が竦む。






「あの、ごめんなさ……」


「ん?いいよね、俺離すつもりないからね」





腕をガシッと掴まれて、ビクンッと肩が揺れた。



どうしよ……怖い……!!

逃げようと少し身をよじっても、全然力が敵わなくて。




誰か気づいて!……なんて、辺りを見回しても、みんな忙しそうで、誰もこちらを見てはいない。




「ね、誰も見てないうちに抜け出そ?」



耳元で囁かれて、ぞわぞわっと悪寒のようななにかが背筋を這い上がった。



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