お前のこと、誰にも渡さないって決めた。

耐えきれなくて、思わず視線を逸らした私。



「ひまりちゃん、俺………」



そんな私の耳に、翔太くんのいつもより数倍柔らかい声が入ってくる。



「っ!」




逸らした視線を戻すと、翔太くんとぱちりと視線が重なって、動揺する暇もなく翔太くんの顔が近づいてくる。



まだ、どこかにクリームが残って……?

でも、それにしても、




「あ…の、ちか………っ、」



ちょっと近すぎる気がする。



それでも距離は近づいてくる一方で、

もうあと少しで吐息さえかかるほどで。




ど、どうなってるの……っ?!




あまりの近さに、ぎゅっと瞼を閉じて。

ほんとうにすぐ側に気配を感じた、その瞬間。





「ひゃあっ…………!」




誰かに後ろ首を掴まれて、ぐいっと力強く引っ張られた。


勢いあまって倒れそうになったのを、なんとか踏みとどまる。




な、なにが起こったの?


と、不思議に思ったのは束の間で、





「何してたわけ?………目障り」





割って入った、不機嫌すぎる声。



それだけで、疑問も全部吹き飛んで、
嬉しいって思っちゃうのは──────




それが、みっくんの声だからで。




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