お前のこと、誰にも渡さないって決めた。

早く家の中に入って暖まろう……!


そう思って、玄関の扉を開けようとしたとき、誰かに名前を呼ばれてその手を止めた。




「ひまり、」


「みっくん!」




もちろん、こんなところで私の名前を呼ぶのなんて、たった1人しかいない。



お隣さんである、みっくんしか。




振り向けば、やっぱりそこにはみっくんがいた。

自分の家の壁にもたれかかって立っている。




みっくんがそんな立ち方をすると、絵になるよね……。





「どうしたの?」




みっくんに見惚れながらも、私はたずねた。



だって、私が帰るのを、寒い中外で待っててくれたみたいだし、何か用事があるはずだから。




そんな私の問いに、みっくんは少し照れくさそうに口を開いた。




「あのさ、25日って暇?」


「へ……25日?」




予想だにしていなかった質問で返されて、少し戸惑う。




暇だよ?、と応えようとして、あ、と思い出した。




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