お前のこと、誰にも渡さないって決めた。

ここで本当のことを言えば、絶対みっくん怒るよね……っ!?


限定スイーツにつられました、なんて言った日には世も末だ。


だからって、みっくんに嘘はつきたくないし……!




「あの、翔太くんに誘われて……っ、」




必死に弁解しようと口を開くも意味なんてなかった。




「だから?浅野に誘われたからって、のこのこついていくわけ?」



「なっ、」



「ほんと………ムカつく」





ひぃ……っ、みっくんすごく怒ってらっしゃる……!



せっかく、ようやく幼なじみ同士に戻れたのに、なんでこうなっちゃうかな……!?




「あっ、あああの!25日はダメだけど、他の日ならいつでも大丈夫だよっ」




みっくんの怒りを鎮めようとしたのに、余計に火に油を注いでしまったみたいで。




「………俺はそういうことを言ってるんじゃなくて」




ぼそり、とみっくんが呟いて、

あー………と、何かを堪えるように声を漏らした。





「……他の男とふたりとか冗談じゃねー……、この鈍感バカ」





聞こえるか聞こえないかくらいで呟かれたその言葉は、私の耳に入る前に溶けてなくなった。




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