お前のこと、誰にも渡さないって決めた。


困ったように眉を下げた私に気づいて、
みっくんが くそ、と悔しそうに表情を歪める。



あーあ、こんなときに思うんだ。

人の心を読めたらいいのにって。




そしたら、みっくんの気持ちもわかって、
こんなに怒らせることも、困らせることもないのに。




「………ごめん、頭冷やす」





そう言ってみっくんは私に背中を向けようとする。




「っ、みっくんっ!」




咄嗟に私はみっくんの腕を掴んだ。

みっくんの肩が、ぴくり、と揺れる。




だって、怖いよ。

やっと向き合えたのに、また背中合わせになってしまうのが。



また嫌われちゃったらどうしよう……って。




心がいっぱいいっぱいになって、何も言えなくなった私を、みっくんは見下ろして。



私の想いを悟ったように、切なげに微笑んだ。




「ひまりのせいじゃないから」



「っ?」




「どっちかっていうと、俺の問題。……だからそんな、泣きそうな顔すんな」




みっくんの指が、私の目の淵をするりと撫でた。




すると、悲しい気持ちはどこかへ飛んで、代わりに甘ったるいみっくんへの気持ちで胸がいっぱいになる。




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