お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
*
*


もこもこのニットに、ブラウスに、スウェット、スキニーに、チェックのスカート、ワンピース、靴下………。



部屋の床に散らばる服たちを前に、私はうーん、と唸った。




こういうときって、なにを着ていくのが正解なんだろう……。




今日はもう12月25日。

翔太くんとの約束の日だ。




今はまだ、家を出る時間より1時間ほど前なんだけど、かれこれ数十分は悩んでいる。



だって、男の子の友達と出掛けたことなんてないんだもの。


どういう格好をしたらいいのか、全くわからなくて途方に暮れている。



友達と出掛けるのに、張り切りすぎるのはどうかと思うし。


だからといって、夏奈ちゃんと遊ぶようなつもりで選ぶわけにもいかなくて。



仮にも街はクリスマス。
そして、きっと、翔太くんもオシャレだろうし……釣り合うくらいにはオシャレしないと、と思う。




「っくしゅっ、」




考え込んでいると、突然くしゃみが出てしまう。



そういえば、一昨日から少し風邪をひいていたの。

でも、薬も飲んだし、治ったはずなんだけどなぁ……。




服を引っ掻き回していたから、ホコリでも飛んでいたのかな……?



そうに違いない、と納得して、私はまた服選びへと戻った。




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