ビターチョコをかじったら
「…可愛くなった…の?」
「男子会はえげつねーんだよ。」
「そんなの女子会もだけど…。相島くんは彼女いるのかなって話で持ちきりだよ。」
「そんなん、こっちもだっつの。」
「でも…もし、ほんとに私が可愛くなったんだとしたら…それは昴くんと一緒に過ごせてるからだと…思うんだけど…。」
「おっまえなぁ…。俺が今どんだけ我慢してるかわかって煽ってんの?」
「あ、煽ってない!」

 ぎゅうと音がするのではないかというくらい強く抱きしめられる。心臓の音が直に伝わってくる。紗弥のものもうるさいけれど、相島だって負けていない。

「今日木曜。明日仕事。大事な案件入ってるから休めねぇ、遅刻できねぇ。この半殺し状態で今日を過ごそうって話なんだけど?」
「明日1日終わったらの、のんびりしようよ、ね?」

 紗弥は抱きしめ返す腕に力を込める。

「明日はのんびりとかしねーから。」

 腕が緩み、見上げた先には相島がいる。額が重なって、吐息が近くなる。
 優しいキスが落ちてきた。触れるだけで幸せで、とろけてしまいそうになる。その優しさと甘さに、紗弥はそっと目を閉じる。一度離れて、寂しがるかのように唇が近付く。

「…止まんなくなりそう。」
「す、ストップ!終わり!お風呂入って寝よ!」
「一緒に入る?」
「一緒!?」
「そういや一緒に風呂ってやったことなかったよな。入ろ。」
「えぇ!?は、恥ずかしいよ!」
「恥ずかしいことまみれなんだから全部洗い流せ。…行くぞ。」
「うー!」

 風呂場までの短い道のりでも、握られたその手が嬉しくて、紗弥はそれを握り返す。

「…ふふ。好きだなぁ。」
「んー?」
「なんでもない!」
「…なーにがなんでもない、だよ。ばっちり聞こえてるっつの。俺もちゃんと、…好きだよ。」

*fin*
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