左手にハートを重ねて
ソファの足もとにひざまずいた彼が、顔を上げた。
「俺は、おまえより20も年上なんだぞ?」
「うん。だから?」
「こんなオッサンじゃ、満足できないだろ。森崎みたいな、若い男のほうが合っているんじゃないのか?」
さっきの会話、聞いていたんだ。
拗ねたように聞こえてしまうのは、私の願望のあらわれだろうか。
「何度言ったらわかるの? 私は先生がいいの。っていうか、先生じゃなきゃだめなの。梁田先生こそ、こんな小娘、本当は嫌だったんじゃない?」
一瞬の沈黙。
そして、はぁっとため息をついたあと、彼が言葉を返す。
「そうだな。まさか自分の教え子と結婚するはめになるとはな」
「ひどい。じゃ、今からやめる?」
「婚姻届出したから、もう遅い」
「じゃ、離婚届出しちゃう?」
「……それも、もう遅いだろ」
彼はそう言って、私のおなかを撫でた。
私のおなかの中には、4か月になる彼の子どもが宿っている。
彼と付き合いはじめたのも4か月前だから、妊娠、結婚というステップまで、一足飛びに駆けあがったことになる。
「俺は、おまえより20も年上なんだぞ?」
「うん。だから?」
「こんなオッサンじゃ、満足できないだろ。森崎みたいな、若い男のほうが合っているんじゃないのか?」
さっきの会話、聞いていたんだ。
拗ねたように聞こえてしまうのは、私の願望のあらわれだろうか。
「何度言ったらわかるの? 私は先生がいいの。っていうか、先生じゃなきゃだめなの。梁田先生こそ、こんな小娘、本当は嫌だったんじゃない?」
一瞬の沈黙。
そして、はぁっとため息をついたあと、彼が言葉を返す。
「そうだな。まさか自分の教え子と結婚するはめになるとはな」
「ひどい。じゃ、今からやめる?」
「婚姻届出したから、もう遅い」
「じゃ、離婚届出しちゃう?」
「……それも、もう遅いだろ」
彼はそう言って、私のおなかを撫でた。
私のおなかの中には、4か月になる彼の子どもが宿っている。
彼と付き合いはじめたのも4か月前だから、妊娠、結婚というステップまで、一足飛びに駆けあがったことになる。