左手にハートを重ねて
「最初から、愛してた」

 すべての行為が終わってまどろむ私の耳元で、ふとそんな囁きが聞こえてきた。

 眠ってしまったと思っているのだろうか。
 手先は器用なのに、不器用な愛情表現しかできない、愛しい男《ひと》。

 背後から腕に閉じこめられ、今彼がどんな表情をしているのか、見ることができない。
 けれど、私の体を包み込むその腕が、彼の本心を雄弁にもの語っていた。


 私はそっと、彼の大きな手に自分の左手を添える。

 結婚式の聖なる夜、ふたつのハートがようやく重なった。
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