エリート御曹司とお見合い恋愛!?
「嫌だった?」

 不安そうに問いかけられ、私は大袈裟なくらい首を横に振る。

「そっか、よかった」

 本当に安心したという笑みを浮かべられ、その顔に胸を高鳴らせていると、素早く額に口づけられる。こちらがなにか反応する前に、エレベーターが一階に到着した。

 駄目だ、もう絶対に敵わない。おとなしくエレベーターホールからエントランスに向かうが、いつも仕事で利用しているので、日曜日の雰囲気は、なんだか不思議だった。

「美緒」

 改めて名前を呼ばれ、私は倉木さんに視線を戻す。すると、倉木さんから手が差し出されていた。私は、またこの手を取ってもいいのだ。

 諦めないと、と思ったのに、この気持ちはいらないと思っていたのに。倉木さんはたくさんの大事なものに気づかせてくれて、私を変えてくれた。

 やっぱり倉木さんはヒーローだ。なにより、こんなにも幸せな気持ちにさせてくれるんだから。

「おいで。送っていくから」

 倉木さんの手を取ると、強く握ってくれたので、私も握り返す。思えば、このエントランスをふたりでくぐるのは初めてだ。

 ずっとこのビルの、社内だけの関係だったから。でも、それももう終わりだ。そして、これからまた新しい関係が始まる。

 握られた手から伝わる体温に心が満たされて、できればずっとこの手を離したくないと思った。



――社内限定恋愛、解禁
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