エリート御曹司とお見合い恋愛!?
「いや。でも、一生懸命な桜田さんを見るのは、なかなか楽しいし。このまま頑張ったらどうなるのかなって興味はあるね」

「倉木さんが声をかけてくれなかったら、きっと来てませんでしたよ」

「うん、だから。そういう素直な桜田さんが、可愛いなって」

 どこまで本気か分からない言い草に、私の心は鼓動と共に乱れる。きっとからかわれているだけだ、そうに違いない。

 そう思って倉木さんの顔を見ると、思ったよりもずっと優しい顔で笑っていてくれた。その表情に、さらに胸は痛みだす。

 可愛いわけない。なにも取り繕えていないこんな身なりだし、それに倉木さんがいつも声をかける女性たちの方がよっぽど美人で可愛い人たちばかりだ。

 顔が熱くて息が苦しくなる。さっきのとレーニング中よりもよっぽどだ。自然と目の奥がじんわり熱くなっていると、頭に温もりを感じた。

「とりあえずシャワーでも浴びて着替えてこようか」

 その提案に首を縦に振ることしかできない。私はその場を逃げ出すように、声を発しないままシャワー室の方へ向かった。

 久々に運動したので、明日の筋肉痛が懸念されるけれど、汗を流すのは思ったよりも不快ではなかった。シャワーブースは木目調になってシックな雰囲気で、想像していたよりもずっとお洒落だった。

 洗顔やメイク落とし、さらにはシャンプーも数種類おいてあり、新発売の試してみたかったものを喜々として使ってみる。運動を頑張ったので、このご褒美は有り難い。

 倉木さんを待たせていることを意識しつつも、私は白を基調としたパウダールームに心奪われていた。どこかの国のお姫様みたいな造りに心をときめかさずにはいられない。

 半個室となっているドレッサーは、シルバーの縁で彩られた大きな丸い鏡に、重厚な椅子を宛がわれている。置いてある化粧品の数々に目移りしながらも、私はてきぱきと支度を整えた。
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