エリート御曹司とお見合い恋愛!?
 それでも結局、仕事が終わった後、言われた通り会いに行くのだから私の意志なんて弱いものだ。でも、倉木さんから声をかけてくれたことは、やっぱり嬉しかった。

 これが会社の中だから、というのはなんとも不思議だ。普通は逆だろうけど、もしも、この前みたいに外で会ったとしても、倉木さんはきっと私に声をかけてくることなんてないのだろう。

 もやもやした感情を振り払い、指定された部屋に顔を出すと、倉木さんはやっぱり、前と同じ席に座っていた。

「今日は私服なんだ」

 なんてからかわれながらも、早々に場所を移動するようで、私はおとなしくついていくことにする。

「あの、どこに行くんですか?」

「行ってみればわかるよ」

 とりあえずエレベーターに乗り込み、一階まで降りる。さらに違うエレベーターに乗り換えるように言われて私は固まった。

 これは、この前の流れとまったく一緒ではないか。しかも、そのエレベーターは行き先がほぼ決まっているようなもので、私は顔に不安の色を浮かべた。それを見抜いて倉木さんは優しく微笑んでくれる。

「大丈夫。ラウンジに行くわけじゃないから」

「なら」

「それより、もっと高いところだよ」

 エレベーターは、まさかの五十五階を通り越してRのところで止まった。倉木さんの考えが読めない。屋上に展望施設などはなかったと記憶しているが。

 エレベーターのドアが開き、足を進めたところで、どこか見覚えのある女性が我々を待っていた。
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