エリート御曹司とお見合い恋愛!?
 とりあえず私は操縦してくれた藤野さんにお礼を告げた。今日のところはヘリはあのまま屋上に待機させ、また明日戻しに行くらしい。

 なんでも藤野さんはライセンスをアメリカで取得し、持っているのも自家用操縦士免許ではなく、さらに難易度の高い事業用の方を持っているんだとか。本当にすごい人である。さらにこのあと、またデスクに戻るということで早々に行ってしまった。

 屋内に入り、なんだか夢見心地でさっきまで空にいたからか私は千鳥足だった。それをさりげなく倉木さんが支えてくれた。
 
「大丈夫?」

「だ、大丈夫です。倉木さんこそ苦手なのに、すみませんでした」

 言うかどうか迷ったが、やはり言わずにはいられなくて私は謝罪を口にした。すると倉木さんはやっぱり私の頭を優しく撫でてくれる。

「いいよ。この前、ラウンジに連れて行ったとき、随分緊張させて失敗したなって思ってたから」

「そんな、失敗だなんて!」

 反射的に顔を上げて否定すると、倉木さんが先に笑って言葉を続けた。

「でもよかった。今日は美緒が楽しそうに笑ってくれてたから」

 その言葉に、笑顔に、体中の血が沸騰しそうになる。それと同時に、心臓でもない、どこか分からないけれど胸の奥が痛む。目の奥まで熱くなってしまった。私はぎゅっと握り拳を作った。

「ありがとうございます。すごく楽しくて、ドキドキして、今日のこと絶対に忘れません」

 声を震わせながら、それでもまっすぐに告げると倉木さんはやっぱり優しく微笑んでくれた。

「こんなにしてもらって。もう私、倉木さんに、どんなお礼をすればいいのか分かりませんよ」

 伏し目がちに告げると、倉木さんは少し考える素振りを見せた。不思議に思って顔を上げると、倉木さんは軽く口角を上げて内緒話でもするかのように身を寄せてきた。

「お礼はいいから、もう少し付き合ってくれる?」

 魅惑的に囁かれ、もしこれが私ではなければ、きっと違う意味だったのかもしれない。
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