未知の世界5
「よく気づいたな。」
ゆりちゃんを病室であやしていた私のところに、代わりの看護師と一緒に石川先生がきた。
『遠くからみていても辛そうでしたので。』
「なかなか付き添いの母親にまでは目がいかないもんだ。」
普段人を褒めることのない石川先生が素直に私のことを、褒めてくれていると思うと少し恥ずかしい気持ちになる。
「あ、昼行くぞ。」
思い出したかのように声をかけられる。
『あ、いえ。私は食堂では…。』
普通のものは食べられないから…。
そう続けようとすると、
「弁当持って食堂行くぞ。
ちゃんと食べるか確認しないとな。」
う…監視ってこと…。
石川先生と食事なんて初めてかもしれない。前は一緒に食事の時間をとることもできなかったのに。