未知の世界5
「子供と話すとな、自分も昔は子供だったからか、少しずつ言葉が理解できてくるんだ。
そうするとさっきみたいに親よりも細かく話が聞ける。」
医局の隣に置かれた自販機で、石川先生はコーヒーを、私は水を飲む。
『あんなに子供たちが自分の症状を話してくれるなんて、驚きました。』
「だろ?俺がいたアメリカの病院ではああやってたんだ。まぁ、子供の話は鵜呑みにしたらダメだけど、否定したり疑ったりすれば子供はすぐに気づく。
全て聞き出して、聴診して矛盾がないか調べるってことが大切なんだ。だから親にも聞く。だけど、親がいると子供は喋らない子がほとんどだし、親が症状を変えて話すこともあるんだ。」
へ〜そうなんだ。すごく勉強になる。
教科書には書いてないことばかり。
「大人の患者の方が、よっぽどか自分の症状は話さないなぁ。ホントに。」
真面目な顔をしていたと思ったら、私の顔をニヤッと見る。
『もうっ!それって私のことじゃないですか!』
ひどいなぁもう。
「素直に言えばいいのに、すぐ隠したがるんだからなぁ。」
う…図星。
『その通りです…。』
なんて言うと、大きな声で笑う石川先生。
こんな顔をして笑う先生は初めて見た。