俺様社長と極甘オフィス
「すみません、お疲れのところ。そうですね、今日は帰ってもう休みましょう」

「うん、だから藤野が癒してくれるんでしょ?」

「はい?」

 まさかの返答に私は目を剥く。すると社長は少し怒った顔になった。

「せっかく恋人同士になったんだから、それぐらい許してくれてもいいんじゃない? ずっと充電、我慢してたし」

「我慢って。社長がしてこなかったんじゃないですか。私から言ったときだって、その、拒否されますし」

 最後は恥ずかしさもあって、消え入りそうになる。すると社長は困ったように頭を掻いた。

「そりゃ、こちらとしては告白ギリギリで『恋人になってくれる?』って訊いたのに、藤野があまりにも困ったような顔をするから」

「あ、あれは」

 急いで弁明しようとするが、それを待たずに社長は続ける。

「いいんだよ。そもそも自分の気持ちもちゃんと伝えていないのに、藤野が嫌がらないのをいいことに、あんなふうに触れたりして、なんだか卑怯だなって思えて。で、触らないようにしよう、と思っていたのに、いきなり藤野から充電しないんですか?なんて言って抱きついてくるから、驚く前に、理性が飛ぶかと思った」

 あまりにもさらっと告げられた言葉に、私は声も出ない。頬に熱を感じながら酸素を求める金魚のように口をぱくぱくとさせるしかできなかった。

 そんな私に社長は意地悪く笑う。その顔は実に楽しそうだ。
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