俺様社長と極甘オフィス
「でも、そんな我慢も遠慮もいらなくなったわけだし」

「ここ職場! 会社です」

「まぁ、だからさすがに最後まではしないとして」

「なに言ってるんですか!?」

 顔を赤くして叫ぶと社長が声をあげて笑った。

「いいね、そういうの。藤野はこちらがなに言っても、いつもあまり反応がなかったから、こういう照れた藤野を見られるのは、いいかもしれない」

「からかわないでください」

 弱々しくも抗議すると、社長は私の耳にその形のいい唇を寄せた。

「からかってないよ。俺は、いつも藤野に対しては真剣だって言ってるだろ?」

 甘く痺れるような声に、全身の血液が沸騰しそうになる。困った。まさかここまで形勢逆転されるなんて。

「ほら、こっちにおいで」

 笑いを噛み殺しながら手を引かれ、ソファまで連れていかれる。先にそこに社長が座ると、いつもは後ろから抱きかかえられるようにして座っていたが、今日は横抱きされる形で社長の膝に座ることになった。

「あの、重いと思います」

「全然。ずっとこうしていたいくらい」

 抱きしめられて体が硬直する。これぐらいの接触は前からあったことだけれど、どうしても恋人同士と意識するとぎこちなくなってしまう。

 けれども、左側を社長に預ける形になり、密着したところから伝わってくる体温や鼓動が安心をもたらせてくれる。
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