先生に青春を取られたっていう話




岡本の居る場所はなんだろう・・


居心地がいい。


落ち着く?




いや、”安心”っていうのがいいかな。




車が心地よい気持ちよさで揺れる



車の中は岡本の香りとタバコの匂いが
たくさん詰まっていた。



「櫻木?起きろって?」


「ふぁっ?」


「そんなに眠いのか?」


「たまたまね〜」


「俺といる時寝すぎだろ(笑)

今日初対面なのに3度も寝てるだろ!!

昨日ちゃんと寝たのか?」


「漫画を夜な夜な読み明かしてた。

ただの睡眠不足だから。気にしないで。」


「そっか。

まぁ、いいや!それより降りようぜ?」



どこだろう。

かなり静かなんだけど。



「うわぁっ!!!」


「なっ?綺麗な場所だろう?

初めて人をここに連れてきたんだ。
俺の大好きな場所なんだ。

なんか嫌なこととか、落ち込んだ時はここに一人で夜眺めに来るんだよな。」




ほんっとに綺麗な眺め。





眠らない街でもこんなにも静かで、一人になれる場所があったんだ。



でも、私が初めて連れて来た人。


“特別”っていうのに気持ちが高鳴るのはどうしてかな。


「知らなかったなぁ・・・。」


「ん?」


「ここだと一人で居られるし、なんせ静か!」


「そっ!

マジで俺以外誰ひとりと連れてきたことなんて無いんだからな?
俺と櫻木たった二人の秘密だ。

またなんかあったら言えよ。俺がまた連れてきてやる。」


「本当?」


「おう!」


なんだ。

岡本は良い先生なのか?


「おっ!今俺のこと惚れたんじゃない?」


「それは無いけど・・」


「けど、何?」


「良い先生なのかな〜?って思ったの!!!」


うわっ恥ずかしい。

絶対今、私の顔真っ赤だよ・・


「ふっ!なんだよ?

今更気づいたのか?
俺は最初っから”良い先生”だっての!!」


「はぁ!?ウソウソウソ!!!


“良い先生”は初対面の可愛い生徒を放課後呼び出して資料作りなんてさせませ〜〜んだ!」


「ウソじゃ無いし!(笑)

てか、お前が今朝のHRの時に爆睡してたのが発端だろうが!」


「・・・」


”まぁ、良いや。


サンキューな!!
また来ようぜ!”


って私の頭を今度はガラスを触るかのように優しく岡本の大きなあったかい手で撫でた。



今度は激しく鼓動がドキドキと止まらなかったんだ。




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