先生に青春を取られたっていう話
   



ガラッと躊躇なく教室のドアを開け入った教頭の後ろに続いて俺は入った。


うわぁ・・若ぇ・・

俺この中だとかなりおっさんだな。

まだ若いと思っていた俺ももう26歳。

こいつらまだ10代なんだもんなぁ。


と、思っているところで教頭がしゃべりだした。


「え〜、佐久間先生が急遽産休で今日から来れなくなってしまったので、

代わりに岡本先生がこのクラスと数学を受け持ってもらうことになりました。
では、岡本先生!簡単な自己紹介をお願いします!」


自己紹介か・・


「初めまして。岡本 太一と言います。年齢は26歳独身です。
数学も同時に受け持ちます。
約1年間宜しくお願いします!」


黒板に自分の字をこんなでかでかと書く日が来るなんてな・・


って、さっきからずっと寝ている奴が気になって仕方がない。
この俺様の自己紹介中に。


「では、岡本先生!しばらくHRの時間少しでも馴染めるよう自由にしてくださいね。

私はこれで、では後ほど!」

俺は職員室に戻っていく教頭に軽く会釈すると、教卓の上にあったこのクラスの座席順になった名簿と顔写真を見た。


あの寝ている奴は・・
”櫻木 琴音”ね・・・。




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