冷徹ドクター 秘密の独占愛



「では今日は、全体のお掃除も一通り終わりましたので、お口の中の染め出しをして、歯磨きのやり方の確認をしていきますね」


津田さんの口腔内チェックをした律己先生は、「衛生士に代わります」とチェアを離れ、受付け近くでカルテの記載を始める。

染め出し液をトレーに出しながら何となく後方に振り返ると、カルテを書く律己先生の手元を田島先生が覗き込んでいた。


他人を近寄らせないオーラを常に放っている律己先生に、誰かがあんなに接近している光景は今まで見たことがない。

カルテを指差して何かを聞く田島先生に、律己先生が傍らに置いたノートパソコンに映し出されているパントモ画像を見せる。

二人が話し出したのを目に映すと、気付かれないうちに患者さんに向き直った。


「お口開いてください、染め出していきますね」


ピンク色に染まっていく口腔内を見ながら、微かに聞こえる話し声に意識が引っ張られる。


さっき院長が律己先生の同期だって紹介してたけど、もしかして結構仲良かったりして?

そもそも、どうしてうちの病院の手伝いになんて来ることになったんだろ……。

院長が頼んだから?
それとも、律己先生が直々に頼んだとか?

どっちにしても、学生時代からの知り合いで顔見知りなんだろうけど、あの雰囲気は特別感が感じ取れる。

女の勘というか、何というか……。

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