冷徹ドクター 秘密の独占愛
「え……?」
突拍子もない質問に目が点になってしまった。
まだ面接の“め”の字も始まってないのに、いきなり内定を頂いてしまったようなことを尋ねられる。
返す言葉を失っていると、院長の隣に掛けていた、たぶん院長夫人が「ちょっと、あなた」と腕を叩く。
その様子で、やはり奥様だと察する。
「ごめんなさいね、院長、気が早くて」
「いえ!」
「まずは履歴書、いただかないとよね」
「あ、はい」
書いてきた履歴書をそそくさと出す。
「お願いします」と差し出すと、ざっと紙面を見た二人は揃ってハッとしたような表情を見せた。
そして、夫婦揃って神妙な顔つきになる。
「塚田先生のところの衛生士さんだったのか……大変だったね」
院長は元職場の塚田先生を知っているようだった。
元職場の最寄り駅から電車で二駅と、この医院は決して塚田先生のご近所ではない。
でも、広いようで狭い歯科業界。
もしかしたら同じ大学の出身だとか、何か繋がりがあるのかもしれない。