冷徹ドクター 秘密の独占愛


ストーカー被害なんて、漫画とかテレビドラマのフィクションの世界の話だとばかり思っていた。

ニュースなんかでもたまに見かけるけど、自分の周囲でそんな話は聞いたことはなかったし、縁遠いことという感覚だった。

そのせいなのか、今日の出来事は未だに信じられない。


でも、夢でもフィクションでもない。

向き合って解決しなくてはならない問題だ。


とは言っても、待ち伏せされて言い寄られた程度のことを警察に持ち込んで、果たしてどのくらい取り合ってくれるのだろうか。

決定的な被害を受けたわけでもないような微妙なラインだし、軽く受け流されてしまう気もする。


今日、私が見せた拒否の姿勢で、津田さんが諦めてくれればそれが一番いい。

だけど、言動からして自宅まで付けられていたようだし、あっさり引き下がってくれる望みは薄そうだ。


「どうすりゃいいのよ……」


ため息混じりに呟いた言葉が、静かな広い部屋へ虚しく響いた。


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