冷徹ドクター 秘密の独占愛
夢か現実か意識が混濁した状態で、すがりつくように何かにしがみついていた。
さっきソファの前に腰を下ろしたあと、そのまま寝てしまい、夢を見ていたのかと気付くまで数秒を有した。
それと同時に自分の状態にハッとし、一気に目が覚める。
しがみついていたのは、何と律己先生の胴体。
スーツの上着を脱いだシャツ姿の律己先生に自ら腕を回し、ギュッと抱き付いていたのだ。
「すっ、すみません!」
何てことしてんの自分!と胸の内で絶叫し、パッと両手を広げて勢い良く後方に身を引く。
でも、床に着こうとした両腕は何故か律己先生に掴まれる。
すぐ間近で綺麗な顔と目が合うと、少し強引な力で引き寄せられ、再びその腕の中に抱き締められていた。
ギュッと力が込められ、すっぽりと収まってしまった体にさっきまでとは別の緊張が駆け巡る。