冷徹ドクター 秘密の独占愛



白衣から私服へと着替え、電車へと乗り込んだのは院長と話した約三十分後。

大学病院の最寄り駅に着くと、タイミングよく大学行きの送迎バスが停留所で停まっていた。

乗客もまばらなバスに乗り込み、空いている一番後ろの席へと腰を落ち着かせる。

梅雨入りしたというニュースを今朝見たけれど、今日は青空が広がる真夏日になっていた。

座った途端、汗がじわじわと噴き出してくる。

額や首元をタオルで押さえていると、バスの発車アナウンスが流れた。


大学病院は、バスで十五分ほどのところにあった。

駅から離れた場所に位置する病院は、広大な土地を持つ総合診療病院。

口腔外科だけではなく、一般内科や外科をはじめ、各専門診療科目が受診できる。

この辺りの開業医からは、大抵がこの大学病院が紹介がされ、入院患者も多く受け入れている。


バスを降り、患者さんと思われる人たちに紛れて正面入り口から病院へと入っていく。

総合受付近くに病院案内図を見付け、口腔外科の場所を探すと、一階の一番奥に位置するのがわかった。

< 203 / 278 >

この作品をシェア

pagetop