冷徹ドクター 秘密の独占愛
バタンとドアが閉まった先は、明かりの落ちた誰もいない部屋だった。
ユニットが一台、中央あたりにあり、壁際には金属製でガラス戸の棚が壁を覆うように並んでいる。
中には患者さんの資料なのか、多くのファイルがぎっしりと入っていた。
私を中に連れ込んだ律己先生は、すぐに掴んでいた手を放してくれた。
でも、私を見下ろす表情に色はない。
今さっきの、呼び止めにも応じず立ち去った幼稚な自分の行動を後悔した。
「どうした、急に」
「えっ……」
「様子がおかしいぞ」
やっぱり、律己先生もそう思って追いかけてきたらしい。
でも、様子がおかしい理由なんて素直に白状できない。
黙り込む私を、律己先生は黙って待っている。
落ちた沈黙が途轍もなく居心地悪い。