冷徹ドクター 秘密の独占愛
大学病院を出て診療室に戻ってからも、結局今日は一日気分がどんよりとしていた。
そのせいで治療に用意するものを出し忘れていたり、アシストがおろそかになったり、普段しないミスを連発。
牧先生や鮎川先生に「どうした?」と揃って心配されてしまった。
このままじゃ、律己先生にだって合わせる顔がない。
帰って会ったら、どんな顔をして話せばいいのかよくわからない。
そう思ったって、今は律己先生の家でお世話になっているわけだし、状況的に絶対顔を合わせてしまうわけで……。
とにかく、何でもない顔をして明るく振舞って誤魔化すしかない。
ニコニコするのは不得意じゃないし、どうにかなるよね……。
預かっている鍵を使って帰ってきた律己先生の家の玄関を開ける。
大学病院に行っている日は、もちろん帰りは別々。
今日はそれで都合が良かったと思いながらドアを入る。
中はしんとしていて、ふっと緊張していた気持ちが安堵した。