冷徹ドクター 秘密の独占愛
「それはっ……特に深い意味とかなくて、その、昔の名残というか、今は何も……」
何と説明したらいいのかわからなくなって、自分の表情がみるみるうちに困っていくのが手に取るようにわかる。
そんな私を、律己先生は掴んでいた肩を引き寄せるようにして自分の腕の中に包み込んだ。
「悪い……困らせるつもりで言ったんじゃないんだ」
気遣うような優しい声が降ってくる。
「ただ……今日はずっとイラついてた。こんなこと、今まで一度だってなかったのに」
いつも淡々と何事にも気持ちを乱さない律己先生の、どこか余裕のない口調に、自分のもやもやしている心は更に揺れ動く。
「嫌われるな……こんな嫉妬深い男は」
「そんなことないです!」
気付けば、自らも腕を回し、律己先生をぎゅっと抱き締めていた。
触れていた手が、一瞬驚いたように背中を離れる。
でもすぐに、再びそっと私の背中を包み込んだ。