冷徹ドクター 秘密の独占愛



その日のお昼休み。

下村さんと共にコンビニから帰ってくると、中田さんと森さん、それに珍しく牧先生と鮎川先生も控え室でお昼を取っていた。

中田さんと森さんはいつも通りお弁当。
牧先生も今日は奥さんの愛妻弁当のようだ。
鮎川先生はというと、近くのお店でテイクアウトしてきた牛丼を食べている。


「ねーねー、千紗ちゃん、律己先生とどうしたの?」


買い物してきた袋をテーブルに置いたタイミングで、斜め前の席に座る森さんが私に話し掛けた。


「え、どうしたって……」

「今、みんなで話してたんだよねー。千紗ちゃんと律己先生、何か最近ちょっと前と雰囲気違うよねって」


森さんの口から出てきた思わぬ言葉に、椅子に掛けるのも忘れて突っ立ってしまう。


「確かに、少し丸くなった感じがするよね、律己先生。話し方とか」


厚焼き玉子を箸で掴んだ牧先生は、そう言うと一口で口の中に頬張る。


「え……そうですか? 私は相変わらず怖いですけど」


いきなり始まった追求。

雲行きがおかしくなる話の展開に、“相変わらず怖い”なんて言って、努めて普段通りを装う。

椅子を引き腰を下ろし、買ってきた冷やし中華を袋から取り出した。

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