冷徹ドクター 秘密の独占愛


確かに、みんなが“あれ?”と感じてしまうような変化が、最近の律己先生にはあるのかもしれない。

診療室で穏やかな笑みを見せることも最近は増えたし、物腰も以前に比べ格段に柔らか。

私は診療室外でも律己先生のそんな姿を見ているからさほど気に留めなかったけど、診療室でしか律己先生を見ないみんなには、明らかな変化に感じてしまうのかもしれない。


「浅木ちゃん、実は律己先生と何かあったんじゃないの? 白状しちゃえよー」


極め付けの鮎川先生の痛いツッコミに内心思いっきりキョドッてしまう。

みんなの目が一斉に私に注目して、逃げるように目の前の冷やし中華に集中した。


「白状することなんてないですって。勘繰りすぎですー」


バリバリと包装を破きながらしらを切る。


律己先生は誰に知れても問題ないなんて豪語してたけど……。

これは、バレてしまうのも時間の問題かもしれない。

引きつりそうな顔で真顔を作りつつ、そんなことを思っていた。


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