冷徹ドクター 秘密の独占愛



午前中の診療が終わると、午後から律己先生は大学へと出掛けていった。

私も実習へ行っていた、元々席を置いていた日歯の口腔外科室。

そこの外科部長に呼ばれているとかで、前々から午後の律己先生の予約は入れていなかった。


仕事が終わって呼んだタクシーに乗ると、相変わらずワンメーターもない距離をお願いする。

律己先生が診療室を開ける日は、未だに徒歩では帰宅しないようにと配慮してもらっている。

タクシーに乗り込んですぐ、眺めていたスマホが着信画面へと切り替わった。

表示された律己先生の名前に、すぐに通話をタップする。


「はい、もしもし」

『終わったか』


すぐに聞こえてきた、いつもの落ち着いた律己先生の声。

こうして電話越しで聞く声は、普段そばで話している時より低く感じる。


「はい、今、帰りのタクシーです。律己先生は?」

『こっちももうすぐ着く。もう少し早ければ、迎えに行けたな』

「いえ、大丈夫です。あ、じゃあ、下で待ってていいですか? そのまま買い物していこうかと思ってて」

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