冷徹ドクター 秘密の独占愛
雨に濡れたボサボサの髪と、首回りが伸びたよれよれの白いTシャツ。
だぼっとした太めのデニムの足元は、履き込んだ黒いスニーカーが雨にぐっしょり濡れている。
津、田……さん……。
雨に打たれた顔がじっとこっちを見つめていて、全身が金縛りにあったように動けなくなってしまう。
「千紗ちゃん……どうしてだよ?」
雨粒を落としながら一歩ずつこっちに向かって近付いてくる津田さんは、心の読めない不気味な微笑を浮かべている。
病院の前で待ち伏せされたあの日以降、姿を現さなかった津田さん。
最近はすっかりその一件も終息して、このまま平穏が戻ってきていると勝手に思っていた。
それなのに、何で……。
「ここは、千紗ちゃん家じゃないだろ? どうして毎日、ここに帰ってきてるの?」
その言葉は、私の行動を監視しているという意味が含まれている。
「あの男は……千紗ちゃんの何? ねえ、千紗ちゃん」