冷徹ドクター 秘密の独占愛


掴んだ腕ごと無理やり引き寄せ、背後から抱き付く津田さんに、エントランスに駆け込んできた律己先生が掴みかかる。

勢いよく私から密着した体を引き離すと、律己先生はよろけた津田さんの右頰に拳を繰り出した。

飛ぶようにして、津田さんが地面に尻餅をつく。

恐怖におののく私の両肩を掴み、律己先生は「大丈夫か?!」と確かめるように揺すった。

一気に起こった全ての出来事に声もまともに出せず、必死に首を縦に振る。

律己先生は私の無言の返事を聞くと、すぐに倒れた津田さんに振り返った。

その直後だった。

律己先生の向こうから、くすぶるような不気味な笑い声が聞こえてくる。

何故だか嫌な予感が全身を駆け抜けた。


「またあんたか……どうしていっつも邪魔するんだよ」


殴られ倒れた体を起こしながら、再び気味悪く笑い出す津田さんの様子に、律己先生は私をかばうように肩を抱く。

律己先生に連れられ、エントランスの自動ドアへと向かって行った時だった。

金属が固いものに擦れるような、カチャンという音がした。

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