冷徹ドクター 秘密の独占愛
「大丈夫か?!」
とんでもない光景を目にした恐ろしさで、腰が抜けたようにその場に座り込んでいた。
呆然とする私へと、律己先生がすぐに駆けつける。
「はい……だい、じょうぶです」
体も声も、自分のものでないように震えている。
再びエントランスの自動ドアが開き、小走りで現場にやってきた警察官の姿を見ると、その視界がゆらゆらと涙でいっぱいになっていた。
ぽろりと涙を流した私を、律己先生が正面から抱き締める。
恐怖から逃れるように腕を回して抱きつくと、更に涙はぽろぽろと溢れ出した。
「ごめんなさい……私、私……」
「何で謝る。謝るのは俺の方だ」
腕にぎゅっと力を込め「一人にして悪かった」と律己先生は言う。
その後悔しているような声音に必死に首を振った時、律己先生の肩越しに見たものにハッと息を呑んだ。